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ベッカム引退も…アキレス腱断裂でＷ杯絶望

　サッカー界の貴公子が引退危機に立たされた。ＡＣミラン（イタリア）のイングランド代表ＭＦデビッド・ベッカム（３４）が１４日のキエーボ戦の試合終了間際に、左アキレス腱断裂の重傷を負った。本格的な練習再開までは４カ月を要する見通しで、６月開幕のＷ杯南アフリカ大会への出場は絶望。目標を失ったことで、このまま引退する可能性も出てきた。

　選手生命にかかわるアクシデントが起きたのは、試合が大詰めを迎えた後半４３分だった。ピッチ中央で相手ゴールを背にしてパスを受けたベッカムが、右足を軸に反転して左足に体重をかけると次の瞬間、激痛が走った。すぐに右足だけで跳ねながらピッチ外に出て、ベンチの前で倒れ込む。イタリアのテレビ局はピッチを離れるベッカムが「切れた、切れた」と叫んだと報じた。アキレス腱断裂を悟った貴公子は、頭を両腕で抱え、涙を流しながら担架でロッカールームに運ばれた。

　Ｗ杯南アフリカ大会の開幕まで３カ月を切った時点での重傷。ベッカムの手術を担当するフィンランドの医師は「ボールが蹴るまで約３カ月が必要。全力でキックやジャンプができるのは、さらに１カ月かかる」と説明した。ＡＣミランのガリアーニ副会長は「５、６カ月離脱することになる」とみている。９８年フランス大会からＷ杯のピッチに立ち続けてきたベッカムだが、自身４度目の出場はこれで絶望となった。

　０６年まで欧州を拠点にしていたが、０７年に米ＭＬＳのロサンゼルスに移籍し、昨季からはシーズンオフを活用してＡＣミランでもプレー。レベルの高い欧州で実力を示すことで代表入りをアピールしてきたが、過密日程が負傷の一因になった可能性も否定できない。

　負傷から一夜明けた１５日、ベッカムは左足をギプスで固め、松葉づえをついた痛々しい姿で空路、手術を受けるフィンランド入りした。自身の公式サイトには「ショックを受けたが、応援メッセージを送ってくれたすべての人に感謝している。早く完治させたい」とのコメントをアップした。その一方で、英国の一部メディアではこのまま引退するのではとの報道もある。Ｗ杯という大きな目標を失ったことによるモチベーションの低下が、引退につながる可能性は十分ある。精度の高い右足のキックと甘いマスクで世界を魅了したベッカムが、サッカー人生の岐路に立たされた。

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